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変形性頭蓋底斜頭症の乳児における成形ヘルメット療法による顔面非対称の矯正

 

 

 

論文要約

原題 Facial asymmetry correction with moulded helmet therapy in infants with deformational skull base plagiocephaly
日本語訳 変形性頭蓋底斜頭症の乳児における成形ヘルメット療法による顔面非対称の矯正
出版年 2018年
著書 Matthias Kreutz, Brigitte Fitze, Christoph Blecher, Augello Marcello, Ruben Simon, Rebecca Cremer, Hans-Florian Zeilhofer, Christoph Kunz, Johannes Mayr
出処 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29221913/

論文要旨

  • 仰向けで寝かせる指導の普及により、乳児に変形性斜頭症が増加し、顔面非対称や耳位置のずれが発生するケースが増えた。
  • 型取りヘルメット療法が顔面非対称や耳シフトの改善に有効かを検証するため、71名の乳児を対象に治療前後の3Dデータを解析した。
  • 治療後、顔面の非対称性指数が有意に改善(約2mm以内の左右差)し、短期間で臨床的に目立たないレベルの非対称が達成可能と判明した。
  • 対照群では有意な変化が見られず、型取りヘルメット療法の有効性が確認された。早期治療が成功の鍵であり、専門的な調整と定期的なフォローアップが重要である。

 


本コンテンツは論文を機械的に要約しそれをもとに論文の要旨をまとめたものとなります。
内容の正確性については責任を負いかねること予めご了承ください。
論文の内容につきましては原文を必ずご確認ください。

 

1. Introduction(序論)

  • 1990年代、乳児突然死症候群(SIDS)の予防のため、仰向けで寝かせることが推奨される。
  • この結果、変形性斜頭症や変形性短頭症が増加。
  • 変形性斜頭症では、頭蓋底の変形に伴い顔面非対称や耳位置のずれ(耳シフト)が生じる。
  • 型取りヘルメット療法が治療法として広がっているが、顔面非対称への効果を検証する必要がある。

2. Materials and Methods(材料と方法)

2.1 Patients(患者)

  • 2009年~2013年に型取りヘルメット療法を受けた71名の乳児が対象。
  • Inclusion criteria(選定基準):
    • 変形性斜頭症または変形性短頭症の診断を受けた乳児。
    • 治療前後の3Dスキャンデータを持つ乳児。
  • Exclusion criteria(除外基準):
    • 頭蓋骨縫合早期癒合症や頭蓋骨骨折を有する乳児。

2.2 Control group(対照群)

  • 9名の健康な乳児を対照群として使用。
  • 治療を受けていない乳児を含み、頭蓋形状の自然な変化を確認。

2.3 3D data acquisition(3Dデータ取得)

  • 乳児を特別な椅子に座らせ、動きによるアーティファクトを防ぐ。
  • ミリ秒単位で3Dスキャンを実施。
  • スキャンデータは専用ソフトで解析し、顔面の非対称性を測定。

2.4 Individual orthosis(個別ヘルメットの作製)

  • 3Dスキャンデータに基づき、個別設計の型取りヘルメットをCAD/CAM技術で製作。
  • 内部は柔らかいポリウレタン層、外部は硬いポリウレタン層で構成。
  • 装着時間は1日23時間が推奨され、定期的に調整を実施。

2.5 Landmark measurements(ランドマーク測定)

  • 顔面の中間点(鼻根部、鼻中隔)と左右の耳の位置(耳珠)間の距離を測定。
  • 非対称性は左右の距離の比率として算出。

2.6 Statistical analysis(統計分析)

  • 治療前後のデータをWilcoxon-Mann-Whitney検定で解析。
  • 有意水準はp < 0.05。

3. Results(結果)

  • 平均治療開始年齢:5か月(範囲:3~16か月)。
  • 平均治療期間:5か月(範囲:1~16か月)。
  • トラガス-鼻根部ラインの非対称性指数:
    • 治療前:0.045 → 治療後:0.022(p < 0.0001で有意)。
  • トラガス-鼻中隔ラインの非対称性指数:
    • 治療前:0.045 → 治療後:0.021(p < 0.0001で有意)。
  • 対照群では治療前後に有意な変化はなし。

4. Discussion(議論)

  • 型取りヘルメット療法は顔面非対称と耳位置のずれを短期間で改善可能。
  • 5か月間の治療で臨床的に目立たないレベルの非対称性(約2mmの左右差)にまで改善可能。
  • 耳シフトの矯正には熟練した技術が必要で、耳間軸(耳珠間ライン)を基準に調整。
  • 研究にはレトロスペクティブデザインや小規模な対照群などの限界があるが、有効性を裏付けるデータを提供。

5. Conclusion(結論)

  • 型取りヘルメット療法は変形性斜頭症や短頭症に伴う顔面非対称と耳シフトを効果的に改善する。
  • 早期治療が良好な結果を得るための鍵。
  • 専門家による定期的な調整とフォローアップが重要。