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変形性斜頭症の理学療法による治療

 

論文概要

原題 Treatment of Deformational Plagiocephaly With Physiotherapy
日本語訳 変形性斜頭症の理学療法による治療
出版年 2019年
著書 Anna Di Chiara, Enrica La Rosa, Valerio Ramieri, Valentino Vellone, Piero Cascone
出処 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31232996/

論文要旨

  • 非縫合性斜頭症は出生前後の機械的な力が原因で発生し、理学療法、対向姿勢療法、ヘルメット療法で治療可能。
  • 本研究は理学療法の効果を評価し、治療前後で頭蓋骨の形状(Argentaスケール、ODDI、CVAIなど)に改善が見られた。
  • 若い乳児(特に5~8ヶ月)の治療効果が高く、重症例でも改善が確認された。
  • 理学療法はコスト面や親の満足度で優れ、第一選択治療として推奨される。
  • 早期介入が最も効果的であり、持続的な研究が必要。

 

本コンテンツは論文を機械的に要約しそれをもとに論文の要旨をまとめたものとなります。
内容の正確性については責任を負いかねること予めご了承ください。
論文の内容につきましては原文を必ずご確認ください。

 

1. 背景

  • 非縫合性斜頭症:
    • 頭蓋骨の非対称は、出生前後の機械的な力(例: 子宮内圧や仰向けでの睡眠)が原因。
    • 特徴: 同側後頭部の平坦化、前頭部の突出、耳の前方移動。
  • リスク要因:
    • 仰向け睡眠の推奨が普及した結果、発症率が0.3%から8.2%以上に増加。
    • 16週未満の乳児、男子、第一子、早産児で発生率が高い。
  • 治療アプローチ:
    • 矯正方法は主に3種類: 対向姿勢療法、理学療法、ヘルメット療法。
    • 理学療法の有効性に関する統一されたエビデンスは少ない。

2. 目的

  • 理学療法が頭蓋骨の形状を改善する効果を評価すること。
  • 主に4つの頭蓋計測指標(Argentaスケール、ODDI、CPI/CR、CVAI)の変化を分析。

3. 方法

  • 研究デザイン:
    • イタリア・ローマの病院にて、2013年9月から2016年9月にかけて実施。
    • 対象者: 非縫合性斜頭症と診断された乳児24名(21名男性、3名女性)。
    • 平均年齢: 5.5ヶ月(最小1ヶ月、最大18ヶ月)。
  • 治療プログラム:
    • 週1回、40分間の理学療法を16回(4ヶ月間)実施。
    • 前半10分: 頚部および上半身筋肉を鍛える運動。
    • 中間20分: 頭蓋骨の非対称性を軽減する6つの手技。
    • 最後の10分: うつ伏せ姿勢(「タミータイム」)で筋力強化。
    • 親への指導: 対向姿勢療法、抱き方、授乳姿勢のアドバイス。
  • 評価方法:
    • 治療前後に同じ医師が4つの指標を測定。
    • 標準化された2Dデジタル写真で計測。

4. 結果

  • 全体的な改善:
    • 治療後、頭蓋骨の形状が「正常」または「軽度の非対称」に分類される割合が増加。
    • Argentaスケール: 25%→50%。
    • ODDI: 41.6%→37.5%。
    • CVAI: 12.5%→29.17%。
  • 改善率:
    • Argentaスケール: 87.5%の患者で改善。
    • ODDI: 平均改善値 +3.06。
    • CPI/CR: 平均改善値 +1.43。
    • CVAI: 平均改善値 +2.54。
  • 年齢による効果の違い:
    • 最良の結果は5~8ヶ月の患者(グループ2)。
    • 8ヶ月以上の患者でも改善は見られるが効果はやや低い。

5. 考察

  • 早期治療の重要性:
    • 治療開始が早いほど効果が高い(特に8ヶ月以下)。
    • 治療遅延は頭蓋骨の非対称を悪化させる可能性あり。
  • 重症例への有効性:
    • 重度の非対称患者で高い改善率が報告された。
    • 重症例も治療対象として積極的に検討すべき。
  • コストと利便性:
    • ヘルメット療法よりも費用が低く、患者の満足度も高い。

6. 結論

  • 理学療法は非縫合性斜頭症に対する第一選択治療法として推奨される。
  • 年齢や初期の非対称の重症度に関係なく効果がある。
  • 特に8ヶ月以下の乳児で効果的だが、1歳以上の乳児にも一定の効果が期待できる。
  • 今後の研究では、改善の持続性や長期的な効果を検証する必要がある。