位置的斜頭症における頭蓋矯正療法：未治療の乳児および対照群と比較した長期的な結果の縦断的3D調査

論文概要

論文要旨

• 変形性斜頭症（DP）の長期的な治療効果を評価するため、ヘルメット療法を用いた3Dステレオ写真測量による研究を実施。
• 治療群では頭部の対称性が有意に改善され、顔面の非対称性や歯列の異常も軽減。
• 未治療群では非対称性が残存し、特に顔面の歪みや側方交叉咬合のリスクが高かった。
• 対称性の改善は治療終了後も続き、ヘルメット療法が最も効果的な治療法であることが確認された。
• ヘルメット療法は、頭部形状の改善だけでなく顔面および歯列の健康維持にも寄与することが示唆された。

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概要（Summary）

• 背景: 頭部矯正治療（ヘルメット療法）の長期的な効果についての研究が少ないため、顔面の対称性や歯列の咬み合わせを含む結果を調査。
• 目的:
  • 頭部矯正治療を受けた幼児の長期的な結果を評価。
  • 未治療群および正常な頭部形状の幼児と比較。
  • 顔面の対称性と歯列の咬み合わせへの影響を分析。
• 結果:
  • 矯正治療を受けた群は対称性が有意に改善。
  • 未治療群では顔面非対称性の頻度が高い。
  • 斜頭症を持つ幼児の75%が後頭部の平坦化とは反対側に側方交叉咬合を持つ。
• 結論: ヘルメット療法は頭部非対称性と顔面非対称性を改善する効果がある。

導入（Introduction）

• 背景:
  • 1992年の「仰向けで寝かせる」推奨以来、乳児の突然死症候群は減少。
  • しかし、変形性頭部非対称（斜頭症、短頭症）の発生率が上昇（最大46.6%）。
  • 斜頭症は、頭部の一方的な平坦化と顔面・耳の非対称性を伴うことが多い。
  • 頭部非対称性が歯列や顎の非対称に影響を与える可能性が指摘されている。
• 治療法:
  • 初期治療: 親への教育、頭部の位置変更、理学療法、またはオステオパシー。
  • 重度のケースではヘルメット療法が推奨される。

目的（Purpose）

1. ヘルメット療法を受けた乳児の長期的な頭部形状改善を評価。
2. 未治療群および正常群と治療群の結果を比較。
3. 顔面の対称性や歯列の咬み合わせに関する長期的な影響を分析。

方法（Methods）

• 対象:
  • 63名の乳児（DP患者と正常な頭部形状を持つ幼児）。
  • DP患者のうち32名は治療を受け、13名は未治療。
  • 正常な頭部形状の18名は対照群。
• 手法:
  • 3Dステレオ写真測量技術を使用して頭部形状を分析。
  • 計測期間: 治療前（T1）、治療終了時（T2）、4歳時点（T3）。
• 評価項目:
  • 頭部形状の対称性（CVAI、PCAI、EOなど）。
  • 顔面の対称性および歯列の咬み合わせ。

結果（Results）

• 頭部の対称性:
  • 治療群では、CVAIおよびPCAIの改善が有意に大きい。
  • 未治療群と対照群の間に有意な変化は見られなかった。
  • 治療終了後（T2）も非対称性が改善し続けた（特にEOが有意）。
• 顔面の対称性と歯列:
  • 未治療群では顔面非対称性（顎の偏位、顔の側弯）が多く見られた。
  • 側方交叉咬合は斜頭症群でより高頻度で、75%が後頭部平坦化と反対側に発生。