論文概要 原題 Head orthosis therapy in positional plagiocephaly: longitudinal 3D-investigation of...
日本における位置的重度斜頭症の乳児に対する自然経過評価:頭蓋矯正ヘルメット療法を受けた乳児との比較
論文概要
| 原題 | Natural-Course Evaluation of Infants with Positional Severe Plagiocephaly Using a Three-Dimensional Scanner in Japan: Comparison with Those who Received Cranial Helmet Therapy |
| 日本語訳 | 日本における位置的重度斜頭症の乳児に対する自然経過評価:頭蓋矯正ヘルメット療法を受けた乳児との比較 |
| 出版年 | 2021年 |
| 著書 | Takanori Noto, Nobuhiko Nagano, Risa Kato, Shin Hashimoto, Katsuya Saito, Hiroshi Miyabayashi, Mari Sasano, Koichiro Sumi, Atsuo Yoshino, Ichiro Morioka |
| 出処 | https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34441827/ |
論文要旨
- 日本の乳児における重度の位置性斜頭症(CA > 12 mm)の自然経過と頭蓋矯正ヘルメット療法(CHT)の効果を比較した研究
- 自然経過では66%の乳児が改善せず、特にCAが高い乳児は自然改善が困難。
- CHTを受けた乳児は自然経過群よりも3倍の改善効果を示した(CA改善量:−4.6 mm vs −1.6 mm)。
- 効果的なCHTの開始時期は生後4~8か月が推奨される。
- CHTは短期間でも有効で、安全かつ重度斜頭症の治療に適した方法であることが確認された。
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1. Introduction (導入)
- 位置性斜頭症は乳児に最も一般的な頭蓋非対称の一種。
- 日本では、文化的背景から乳児が仰向けに寝かされることが一般的で、斜頭症が自然に改善すると信じられてきた。
- 問題点:
- 医療機関での頭蓋矯正ヘルメット療法(CHT)の導入が遅れるケースが多い。
- 自然経過とCHTの効果を比較した研究が不足している。
2. Materials and Methods (方法と対象)
- 目的:
- 自然経過における重度斜頭症の改善を評価する。
- CHTの効果を自然経過と比較して明らかにする。
- 対象:
- 2020年4月から2021年3月までに日本の3医療機関で受診した乳児。
- 対象は重度斜頭症(頭蓋非対称値: CA > 12 mm)と診断された乳児。
- 手法:
- 自然経過群(56名)とCHT群(44名)を比較。
- 三次元スキャナーで頭蓋形状を評価。
3. Results (結果)
Study 1: 自然経過の評価
- 56人のうち37人(66%)が2か月後も重度のままだった。
- 改善した19人(34%)のうち14人が中等度、5人が軽度に移行。
- 重度の斜頭症(CA > 15.6 mm)の乳児は自然には改善しにくい。
Study 2: CHTの効果
- 自然経過群(24名)とCHT群(33名)の比較。
- CAの改善量は、CHT群が自然経過群の3倍(−4.6 mm vs −1.6 mm)。
- CHG群の58%が改善(自然経過群は29%)。
- CHTの効果は統計的に有意。
4. Discussion (議論)
- 自然経過では重度斜頭症の66%が改善しなかったため、早期のCHT導入が推奨される。
- 初期評価でCAが高い乳児ほどCHTの適応が必要。
- CHTの効果は短期間(2~3か月)でも明確であり、自然経過を大幅に上回る。
- 限界点:
- 長期的な追跡が不足。
- 補助療法(体位矯正など)の影響については未評価。
5. Conclusions (結論)
- 自然経過では改善が困難なケースが多く、CA > 12 mmの乳児にはCHTを検討すべき。
- CHTは自然経過と比べて3倍の改善効果があり、安全かつ効果的な治療法である。