論文概要 原題 Case-Control Study of Neurodevelopment in Deformational Plagiocephaly 日本語訳...
認知機能の結果と位置的斜頭症
論文概要
| 原題 | Cognitive Outcomes and Positional Plagiocephaly |
| 日本語訳 | 認知機能の結果と位置的斜頭症 |
| 出版年 | 2019年 |
| 著書 | Brent R Collett, Erin R Wallace, Deborah Kartin, Michael L Cunningham, Matthew L Speltz |
| 出処 | https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30635350/ |
論文要旨
- 体位性斜頭症(PPB)は、仰向け寝の推奨により増加した頭蓋の変形で、認知や発達に影響を与える可能性がある。
- 中等度から重度のPPBを経験した子どもは、認知能力や学業成績で対照群より低いスコアを示した。
- 軽度のPPBでは認知や学業にほとんど影響が見られなかった。
- PPBは発達のリスクマーカーである可能性があり、重症度に応じた早期介入が重要。
- 軽度の場合は保護者への安心感を提供し、重症の場合は発達評価と支援が推奨される。
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1. 背景 (Background)
- 仰向け寝の推奨により乳幼児突然死症候群(SIDS)は減少したが、体位性斜頭症(PPB)が増加。
- PPBは一般に審美的な問題とされるが、発達との関連性が示唆されている。
- 幼児期のPPBが発達に与える影響について、長期的な影響は十分に解明されていない。
2. 目的 (Objective)
- PPBを経験した子どもと、経験していない子どもとの間で認知能力と学業成績の差を検証。
- PPBの重症度別に差異を評価。
3. 方法 (Methods)
- 対象者:
- 187人のPPB経験者と149人の対照群。
- PPBの重症度を「軽度」「中等度から重度」に分類。
- 評価手法:
- 認知能力: Differential Ability Scales, Second Edition(DAS-2)。
- 学業成績: Wechsler Individual Achievement Test, Third Edition(WIAT-3)。
- 3D画像で頭蓋変形の有無・重症度を判定。
- 統計解析:
- 回帰分析を用いて、年齢、性別、社会経済的地位(SES)などの要因を調整。
4. 結果 (Results)
- PPB全体:
- PPB経験者は対照群よりも認知能力・学業成績で低いスコアを示す傾向。
- DAS-2では全体で小~中程度の差(効果量: -0.38 ~ -0.20)。
- WIAT-3では小さな差(効果量: -0.22 ~ -0.17)。
- 重症度別:
- 中等度から重度のPPB経験者は、認知能力・学業成績で顕著な差(効果量: -0.47 ~ -0.23)。
- 軽度のPPB経験者と対照群の間には、ほとんど差がない。
- 介入の影響:
- 発達支援(理学療法や言語療法など)を受けた子どもは成績が改善している可能性。
5. 考察 (Discussion)
- 中等度から重度のPPBは、発達リスクの指標となり得る。
- ただし、PPBと発達の因果関係は不明であり、PPBは発達の脆弱性を示すマーカーかもしれない。
- 軽度のPPBの場合は発達への影響はほとんど見られず、安心感を与える指導が適切。
- 開発的リスクの評価には、PPBの重症度に基づいた信頼性の高い指標が必要。
6. 結論 (Conclusions)
- 中等度から重度のPPBを持つ子どもには発達評価と介入が推奨される。
- 軽度のPPBの場合は、発達リスクが低いため保護者への安心感の提供が適切。
- さらなる研究が必要。