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三次元スキャナーを使用した変形性斜頭症における頭蓋非対称性の三次元評価と二次元評価の比較

 

論文要約

原題 Three-Dimensional versus Two-Dimensional Evaluations of Cranial Asymmetry in Deformational Plagiocephaly Using a Three-Dimensional Scanner
日本語訳 三次元スキャナーを使用した変形性斜頭症における頭蓋非対称性の三次元評価と二次元評価の比較
出版年 2022年
著書 Risa Kato, Nobuhiko Nagano, Shin Hashimoto, Katsuya Saito, Hiroshi Miyabayashi, Takanori Noto, Ichiro Morioka
出処 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35740725/

論文要旨

  • 本研究では、乳児の変形性斜頭症における2D評価と3D評価の精度と診断の違いを比較した。
  • 3Dスキャナーは2D評価よりも多角的で高精度な評価が可能であり、特に頭蓋の重症度をより正確に診断できた。
  • 530人の乳児のデータから、83.4%の症例で2Dと3D評価が一致したが、16.6%の症例では診断が異なった。
  • 特に、2D評価で軽度とされた乳児の一部が、3D評価では重度と診断されるケースが見られた。
  • 3D評価の使用は、治療の適切なタイミングを判断する上で有用であるため、2D評価と併用することが望ましい。
 

本コンテンツは論文を機械的に要約しそれをもとに論文の要旨をまとめたものとなります。
内容の正確性については責任を負いかねること予めご了承ください。
論文の内容につきましては原文を必ずご確認ください。

 

1. Introduction(序論)

  • 頭蓋の非対称性を評価するための金標準は存在しない。
  • 3Dスキャナーは、安全かつ簡便で、頭蓋変形の詳細な評価が可能。
  • 2D評価には平面選択のエラーや観察者間の変動がある。
  • 本研究の目的:
    • 3Dスキャナーの計測精度を評価する。
    • 2Dと3D評価方法の違いを明らかにする。

2. Materials and Methods(材料と方法)

Study Design and Subjects(研究デザインと対象)

  • 研究1:3Dスキャナーの計測精度(再現性)を評価。
    • 対象:28歳日本人男性(ランダムに選定)。
  • 研究2:2Dと3D評価方法の違いを検討。
    • 対象:2020年4月~2021年4月に医療施設で測定された530名の乳児。

Data Acquisition Using the 3D Scanner(3Dスキャナーによるデータ取得)

  • Artec Eva 3Dスキャナーを使用。
  • 360度スキャンを実施。
  • 測定準備時間を含め、所要時間は約5分。

Data Analysis Method(データ解析方法)

  • ASRとPSRの計算方法:
    • 頭部を4つの象限に分割し、各象限の体積比を計算。
  • 2D評価でのCA計算:
    • 2本の斜め線の長さ差を計測(CA = 対角線A − 対角線B)。
  • 重症度分類:
    • 2D評価:CAが12mm以下は軽度、12mm超は重度。
    • 3D評価:ASRまたはPSRが80.5%未満は重度。

3. Results(結果)

Study 1(計測精度の評価)

  • 3Dスキャナーは非常に高い再現性を示した。
    • 例外として、2D評価のCA値の変動係数(CV)はやや高め(髪の影響による可能性あり)。

Study 2(2Dと3D評価の比較)

  • 530人中、83.4%の症例で2Dと3D評価が一致。
  • 不一致の16.6%のうち:
    • 12.8%は2Dで重度、3Dで軽度と診断。
    • 3.8%は2Dで軽度、3Dで重度と診断。
  • 頭囲測定値は、看護師による手動測定値と3Dスキャナーで高い相関を示した(r = 0.963)。

4. Discussion(考察)

  • 3Dスキャナーは正確で、頭蓋の形状を多角的に評価可能。
  • 2D評価だけでは一部の重症例を見逃す可能性がある。
  • 3D評価を補完的に使用することで、治療の適切なタイミングを判断可能。
  • 日本では3Dスキャナーのコストが高いため普及が難しいが、評価精度の高さから有用性が確認された。

5. Conclusions(結論)

  • Artec Eva 3Dスキャナーは非常に高い測定精度を持つ。
  • 2D評価と3D評価の一致率は高いが、一部のケースで診断結果が異なる。
  • 理想的には、2Dと3Dの両方を併用して頭蓋変形の重症度を評価すべき。