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自閉スペクトラム症の子供における頭蓋顔面の特徴

 

論文概要

原題 Cranio-Facial Characteristics in Children with Autism Spectrum Disorders (ASD)
日本語訳 自閉スペクトラム症の子供における頭蓋顔面の特徴
出版年 2019年
著者

Gabriele Tripi, Sylvie Roux, Domenica Matranga, Laura Maniscalco, Pasqualino Glorioso, Frédérique Bonnet-Brilhault, Michele Roccella

出処 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31075935/

 

論文要旨

  • 自閉スペクトラム症(ASD)の子どもに特有の頭蓋顔面形態を特定するため、2Dコンピュータ写真測定を用いて評価した。
  • ASD群では頭蓋形態に長頭傾向が確認されたが、重症度との関連は見られなかった。
  • 顔面指数(顔の高さの減少)と眼間指数(眼間隔の増加)はASDの重症度と有意に関連していた。
  • この研究は、ASDに特有の「顔面形態型」が存在し、診断精度の向上に寄与する可能性を示唆する。

 


本コンテンツは論文を機械的に要約しそれをもとに論文の要旨をまとめたものとなります。
内容の正確性については責任を負いかねること予めご了承ください。
論文の内容につきましては原文を必ずご確認ください。


 

 

背景 (Background)

  • 頭蓋顔面の異常は神経発達障害に頻繁に見られる。
  • 顔と脳は同じ神経外胚葉から発生するため、顔の形態の違いは脳の胚発生における変化を反映する可能性がある。
  • 自閉スペクトラム症(ASD)の子どもの顔面形態の違いを特定することで、ASDの診断や理解を深める可能性がある。

方法 (Methods)

  • 対象者: 33人の白人ASD児(カーカシアン)。
  • 評価方法:
    • 2Dコンピュータ化写真測定を使用。
    • 頭蓋顔面の軟部組織に基づくランドマークを測定。
    • 5つの頭蓋顔面指数を評価。
  • 測定項目:
    • 頭長指数(Cephalic Index)
    • 顔面指数(Facial Index)
    • 眼間指数(Interchantal Index)など。
  • 解析:
    • 計測値のzスコアを用いてASD群の特徴を分析。
    • zスコアと以下の要因との関連を検討:
      • 年齢
      • 知能指数(IQ)
      • 自閉症評価尺度(CARSスコア)による症状の重症度。

結果 (Results)

  • 頭蓋形態:
    • 頭長指数zスコアが統計的に有意に0から異なる (p = 0.019)。
    • ASD児において長頭(dolichocephalic)の傾向を確認。
  • 顔面形態:
    • 顔面指数zスコアとCARSスコアに負の相関 (p = 0.003)。
    • 眼間指数zスコアとCARSスコアに正の相関 (p = 0.028)。
  • 重要なマーカー:
    • ASDの重症度と関連する2つの顔面マーカーを発見:
      • 眼間隔の増加(眼間指数の増加)。
      • 顔面中央部の高さの減少(顔面指数の減少)。

結論 (Conclusion)

  • 頭蓋形態(長頭形)はASDの重症度とは関係しない。
  • ASDの重症度に関連する顔面形態の特定(例: 眼間隔の広がり、顔面高さの低下)。
  • ASDに特徴的な「顔面形態型」が存在する可能性がある。
  • この「顔面形態型」はASD診断の改善に寄与する可能性がある。