生後1か月の乳児の頭蓋形状は、生後6か月時点の体位性斜頭症の重症度を予測できる

論文概要

論文要旨

• 生後1ヶ月時点の頭蓋形状が、生後6ヶ月の体位性斜頭症（DP）の重症度を予測可能であることを示唆。
• 3Dスキャニングを用いた頭蓋形状測定により、早期診断と重症DPのリスク評価が可能。
• DPの発生率は1〜3ヶ月で増加し、3〜6ヶ月で自然改善する傾向が確認された。
• CVAI（頭蓋非対称指数）7.8%以上が、6ヶ月時点での重症DPリスクを予測する重要な指標となる。
• 早期介入と適切な教育により、DPの予防と治療方針の最適化が可能。

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序論（Introduction）

• 乳児の頭蓋は生後数ヶ月で急速に成長し、外部要因によって形状が変化しやすい。
• 仰向け寝推奨により、体位性斜頭症（DP）の発生率が増加。
• 頭蓋変形の診断と測定方法の確立が求められている。
• ヘルメット治療（CHT）が2000年代から導入され、日本でも良好な成果を示している。
• 本研究の目的は、生後1ヶ月の頭蓋形状が生後6ヶ月時点のDPの重症度を予測できるかを検討すること。

方法（Materials and Methods）

• 日本大学板橋病院、春日部医療センター、氷川台の医療機関で研究を実施。
• 3Dスキャナー（Artec Eva）を用い、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月時点で頭蓋形状を測定。
• CVAI（Cranial Vault Asymmetry Index）を用いてDPを定義し、軽度（≤6.25%）、中等度以上（>6.25%）に分類。
• 受信動作特性（ROC）曲線を用いて、T1時点での重症DP予測のカットオフ値を算出。

結果（Results）

• 92名の乳児の頭蓋形状を測定（T1, T2, T3）。
• CVAI中央値：T1 5.0%、T2 5.8%、T3 4.7%。
• DPの発生率：T1 50.0%、T2 56.8%、T3 43.2%。
• DPの重症度はT1からT2で一時的に悪化し、T3で改善。
• T1とT3でDP重症度が一致する乳児は73.9%。
• T1のCVAI 7.8%以上でT3の重症DPを予測可能。

考察（Discussion）

• 1〜3ヶ月の間でDPが一時的に悪化し、3〜6ヶ月で自然に改善する傾向。
• DPの発生率はT1とT3で大きく変わらず、T1の頭蓋形状がT3の重症度を予測可能。
• 日本ではDPの認知度が低く、早期教育が必要。
• CHTの適切な導入時期についてさらなる研究が求められる。

結論（Conclusion）

• 乳児の頭蓋形状は生後1ヶ月時点で将来のDPの重症度を予測可能。
• 3Dスキャニングを用いた早期評価は、重症DPの予防と治療方針決定に役立つ。
• DPの早期発見と適切な教育が重要。