論文概要
| 原題 |
Argenta Clinical Classification of Deformational Plagiocephaly |
| 日本語訳 |
変形性斜頭症のArgenta臨床分類 |
| 出版年 |
2015年 |
| 著者 |
Leslie G Branch, Kendra Kesty, Elizabeth Krebs, Lindsey Wright, Stephanie Leger, Lisa R David |
| 出処 |
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25901672/ |
論文要旨
- Argenta分類は、変形性斜頭症（DP）を一側性で5段階、中央型で3段階に分類し、治療計画の一貫性を向上させる臨床ツールです。
- DPは右側に多く、治療法としてヘルメット療法が主流で、特に重症例に効果的とされています。
- 治療成功率は83.5%で、軽症（Type I）は自然改善や体位変更での治療が可能。
- 初診時期（平均5.9ヶ月）が早いほど効果的な治療が可能で、治療期間は重症度に応じて長くなる傾向があります。
- この分類は簡便で再現性が高く、患者の治療経過追跡とコミュニケーションに役立つことが確認されています。
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Introduction（序論）
- 変形性斜頭症（Deformational Plagiocephaly, DP）の分類と一貫した治療戦略を確立するため、Argenta分類が開発された。
- Argenta分類:
- 一側性変形斜頭症（DP）：5段階スケール。
- 中央変形斜頭症（Central Deformational Plagiocephaly, CDP）：3段階スケール。
- DPの発生率は生後6ヶ月以内にピークを迎え、自然に改善する場合もあるが、治療が必要な場合もある。
- 「Back to Sleep」キャンペーンにより仰向け睡眠が推奨され、DPの発生率が増加。
Materials and Methods（材料と方法）
- 対象:
- 1997年から2009年までの12年間で治療を受けた4,483人の患者。
- 医療記録を用いてArgenta分類に基づいて分類。
- データ収集:
- 患者の基本情報、治療方法、結果、妊娠合併症や併存疾患の有無を記録。
- 診断:
- 臨床診断とCTスキャンに基づきDPまたはCDPを診断。
- 評価:
- 患者を4方向（正面、頭上、後方、側面）から観察。
- 6～8週間ごとのフォローアップ。
Results（結果）
- 患者データ:
- DP患者: Type IIIが最も多く（42%）、次いでType II（20.4%）、Type IV（18.5%）。
- CDP患者: Type VIBが最も多く（6%）。
- DPは右側が優位（56.8%）で、次いで左側（28.3%）、両側（20.4%）。
- 治療法:
- ヘルメット治療: 89.8%の患者に使用され、特に重症例で高い治療率。
- 体位変更のみ: 9.3%の患者。
- その他（例: ソックハット使用）は稀（0.4%）。
- 治療の成功率:
- DP全体で83.5%がType Iまたは0（正常）まで改善。
- Type Iの治療成功率が最も高く（90.7%）。
- 治療期間:
- 平均治療期間は5.7ヶ月。
- Type Iは平均3.2ヶ月、Type Vは平均8.3ヶ月。
- 中央型変形斜頭症（CDP）は平均6ヶ月。
Discussion（考察）
- DPの発生は多因子が関与:
- リスク要因: 早産、双子または三つ子、母体の妊娠合併症など。
- 初診時の平均年齢は5.9ヶ月で、治療に適した4～8ヶ月の範囲内。
- Argenta分類の有用性:
- 観察に基づいた信頼性の高い分類方法。
- 患者の治療計画と進捗追跡に役立つ。
- 他の評価方法（CTスキャンやレーザースキャン）は費用や放射線被曝の懸念があるため、Argenta分類が現実的な選択肢となる。
Conclusions（結論）
- Argenta分類は、変形性斜頭症の診断と治療計画における重要なツール。
- 治療の最適なタイプや期間を予測可能。
- 高い治療成功率と信頼性により、医療者と家族間のコミュニケーションにも役立つ。