乳幼児頭蓋変形に関する論文

後頭部斜頭症:片側性ラムダ縫合早期癒合症と位置的斜頭症の比較

作成者: Berry|2024/10/26 6:39:07

 

 
 

 

論文概要

原題 Occipital plagiocephaly: unilateral lambdoid synostosis versus positional plagiocephaly
日本語訳 後頭部斜頭症:片側性ラムダ縫合早期癒合症と位置的斜頭症の比較
出版年 2015年
著者 Christian Linz, Hartmut Collmann, Philipp Meyer-Marcotty, Hartmut Böhm, Jürgen Krauss, Urs D Müller-Richter, Ralf-Ingo Ernestus, Johannes Wirbelauer, Alexander C Kübler, Tilmann Schweitzer
出処 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25275089/

 

論文要旨

  • 体位性後頭部斜頭症 (PP) と片側性ラムダ縫合癒合症 (LS) を区別するための臨床的特徴を特定し、診断プロトコルを作成した。
  • 臨床検査と超音波検査を組み合わせることで、大部分のケースで放射線を伴わない診断が可能であることを確認。
  • PPは外部要因で発生し、保守的治療で改善するが、LSは早期診断と手術を検討する必要がある場合がある。
  • LSの診断には、MRIを用いた扁桃体ヘルニアや水頭症の確認が重要。
  • 提案された診断チャートは、日常診療や小児科医、専門医における診断プロセスをサポートする。

 

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1. Abstract (要旨)

  • 研究目的:
    • 体位性後頭部斜頭症と片側性ラムダ縫合癒合症の区別を明確にする。
    • 診断のためのチャートを定義する。
  • 方法:
    • 臨床検査と超音波を用いた鑑別診断。
  • 結果:
    • 臨床検査で大部分の症例を診断可能。
    • 超音波検査はリスクのない補助的な診断法として有用。
  • 結論:
    • 臨床的特徴と超音波検査を活用した診断プロトコルを提案。

2. Introduction (序論)

  • 1992年以降、「仰向け寝推奨キャンペーン」により体位性後頭部斜頭症の発生率が増加。
  • 体位性後頭部斜頭症 (PP):
    • 外部要因(寝る姿勢)で発生。
    • 保守的治療が可能。
  • 片側性ラムダ縫合癒合症 (LS):
    • 非常に稀であり、頭蓋骨縫合の早期閉鎖が原因。
    • 手術が必要な場合があるため、鑑別が重要。
  • 一部の施設ではCTスキャンが主流だが、超音波検査の有用性に注目。

3. Materials and Methods (材料と方法)

  • 対象:
    • 2011年~2012年に411人の非症候群性頭蓋骨異常のある子どもを調査。
    • 平均年齢6.41か月。
  • 診断プロセス:
    • 臨床検査と超音波検査でPPとLSを区別。
    • LSの場合、X線やMRIによる追加検査を実施。
    • 追跡調査を行い、初期診断を確認。
  • 分類:
    • PP: 261人(うち162人は男児)。
    • LS: 8人(男女各4人)。
    • その他の縫合癒合症も記録。

4. Results (結果)

  • 診断:
    • PPの96.6%は臨床検査のみで診断可能。
    • LSはすべてのケースで超音波による確認が必要。
  • 臨床的特徴:
    • PP:
      • 一側性の後頭部平坦化、対側の前頭部突出、正常な頭頂形状。
    • LS:
      • 同側の耳の下方偏位、後頭部の平坦化、頭頂の傾き。
  • 画像診断:
    • PP: 開存する縫合を確認(超音波で全員一致)。
    • LS: MRIで5例に扁桃体ヘルニアを確認。

5. Discussion (考察)

  • LSの発生率は全症例の3%。
  • 臨床診断:
    • 片側性後頭部平坦化、耳の位置のずれ、頭蓋形状の変化が特徴的。
    • 超音波診断が不明確な場合には有用。
  • 画像検査:
    • CTスキャンは放射線被曝のリスクがあり、MRIの使用を推奨。
    • 定期的なフォローアップで症状の進行を監視。
  • LSにおける頭蓋骨変形が脳脊髄液循環に影響を及ぼす可能性。

6. Conclusion (結論)

  • 臨床検査はPPとLSを鑑別する上で重要。
  • 超音波検査を追加することで診断の正確性を高める。
  • LSの診断後は、MRIや放射線検査による経過観察が推奨される。