日本における1ヶ月齢の健康な乳児の三次元スキャン分析に基づく頭蓋形態の基準値

論文概要

論文要旨

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1. Abstract（要約）

• 目的: 生後1か月の日本人乳児の頭蓋形態基準値を3Dスキャナーで調査し、変形性頭蓋変形症（DP）の有病率を把握する。
• 方法: 153人の健康な乳児を対象に、3Dスキャナーを用いて頭蓋の形状を測定。
• 結果:
  • 頭蓋形態の基準値を確立。
  • DPの有病率は64.7%、重症例は6.6%。
  • 性別による違いを確認（体積と幅に差異あり）。
• 意義: 日本の医療従事者が乳児の頭蓋異常を識別するための基準値を提供。

2. Introduction（序論）

• 背景:
  • DP治療にはヘルメット療法が一般的だが、正常な頭蓋形態の基準値が不明。
  • 3Dスキャナー技術が進展し、非侵襲的に形態を測定可能に。
  • 日本ではDP治療に使用されるヘルメットの登録数が少ない。
• 目的:
  • 健康な日本人乳児の頭蓋形態基準値を確立。
  • 日本におけるDPの有病率を調査。

3. Materials and Methods（材料と方法）

• 対象者:
  • 153人の健康な生後1か月（28-55日）の乳児。
  • 低出生体重児、早産児、他の人種は除外。
• データ取得:
  • 3Dスキャナー（Artec Eva）を使用し、全頭部をスキャン。
  • 取得データを画像解析ソフトで分析。
• 測定項目:
  • 頭蓋体積（CrV）、長さ（CrL）、幅（CrW）、頭囲（CC）、非対称指数（CVAI）、左右対称比率（ASR, PSR, OSR）など。
• 統計分析:
  • 性別差、母体の影響、DPの有病率を分析。

4. Results（結果）

• 基準値:
  • 平均値: 頭蓋体積 559 mL、長さ 129 mm、幅 110 mm、頭囲 377 mm。
  • CVAI平均: 5.0%、DPの有病率 64.7%。
• 性別差:
  • 男児は頭蓋体積・幅が大きい。
  • DPの有病率に性別差はなし。
• 年齢との相関:
  • 年齢と頭蓋体積には正の相関。
  • 年齢とCVAIには弱い正の相関。
• DPの重症度分類:
  • Michiganヘルメット基準で重症例6.6%、日本基準で5.2%。

5. Discussion（考察）

• 3Dスキャナーの有用性:
  • 非侵襲的、迅速な測定が可能。
  • MRIやCTに比べ、使用が簡便で安全。
• 性別差の要因:
  • 男児は幅が広く体積が大きい傾向。
• DPの有病率:
  • 日本では有病率が高い（64.7%）。
  • 国際基準が日本人には適応しない可能性。
• 頭蓋形態の基準値の意義:
  • DP治療基準の作成や早期治療開始に貢献。
  • 1か月時点の形態評価は将来の治療指針に役立つ。

6. Limitations（限界）

• 測定誤差:
  • 3Dスキャナーの精度検証が不十分。
  • 測定は1回のみ。
• 対象地域:
  • 関東地方の限られた地域で実施。
  • 全国的調査が必要。
• 他人種のデータなし:
  • 他人種との比較は行われていない。

7. Conclusions（結論）

• 日本人乳児の頭蓋形態基準値を3Dスキャナーで確立。
• 日本におけるDPの有病率は64.7%。
• 3Dスキャナーは頭蓋形態の評価に有用であり、異常形態の識別に役立つ。